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心療内科

はじめに

がんに関連する心の反応は、症状を自覚した時(あるいは無自覚でたまたま健診等で異常が見つかった時)から始まっていると言えるでしょう。そして精査・告知・治療・リハビリテーションや社会復帰の過程・再発・進行・終末期に至る過程の中で、不安・不眠・抑うつ・認知機能の低下・意識障害など、様々な心理的・精神的問題を生じることがあります。

これらは通常の心の反応であり、家族や友人などのサポートやプライマリーに治療にあたる医師・看護師のケア、さらには支援センターのスタッフからの社会的に有用な情報提供などにより、患者さん自らの力で回復していくことも多いと思います。しかし、専門的な薬物療法や精神療法が必要な場合も決して少なくありません。

我々心療内科医は、チーム医療の一員として、がんという疾患を抱えた患者さんの、身体的・心理的・社会的な問題を包括的に評価し、そうした専門的な治療を提供することで、がん患者さんの精神的な苦痛を軽減し、その人らしさを回復するサポートを担います。

「不眠」への対応

不眠はがん患者さんの30~50%が経験すると言われています。原因としては疼痛・吐気・呼吸困難・発熱といった身体症状、モニターや点滴など医療処置や物音など入院中の環境的な要因、後述する適応障害・うつ病・せん妄など精神医学的問題、ステロイドなど薬剤などがあります。

不眠の原因とタイプを評価し、薬物療法と非薬物的な介入を組み合わせて治療します。非薬物療法としては、不眠となる原因の可能な限りの除去・リラクセーション・日中の活動性のアップ等の生活上の工夫などを行います。薬剤を用いる場合も、後述する「せん妄」を生じにくいものを選択します。

「適応障害」・「うつ病」への対応

回復しがたい憂うつな気分、あるいは興味や喜びが感じられない状態を主な症状とする、日常生活に支障をきたす程度の情緒や行動の問題が続く病態を指します。
ある一定レベル以上になるとうつ病の診断がされ、そこまでいかなければ(そしてそれががん関連の出来事に反応してのものであれば)適応障害と診断されます。ただし、適応障害は「はっきりしたストレス要因に反応して」生じる精神病態なので、後述する不安がメインのこともあります。

うつ病はがん患者の3~12%、適応障害は4~35%に生じると言われ、見過ごされてしまうと治療に取り組めなくなったり自殺の要因になったりします。身体症状があまりにつらい状態が続いたり、がんの再発や進行に伴って、頻度は上昇する傾向があります。心理療法は傾聴を主とする支持的心理療法にとどめ、薬物療法や多職種から成るチーム医療による包括的サポートをメインに治療を行います。

がん患者さんに使う薬剤としては、一般的な抗うつ薬以外にも、副作用が比較的少ない新しいタイプの抗精神病薬を用いることも多いです。

「不安」への対応

がんそのものや疼痛などの症状、さらにはがん治療に対して不安になるのはある意味正常で、適応障害としての不安はがん患者の6~34%に生じると言われています。

不安の自覚に伴って、不眠・筋緊張・イライラや落ち着きのなさ・発汗・手足の異常な冷え・口渇感・動悸・手の震え・悪心・嘔吐・胸部圧迫感・呼吸困難感・喉のつまり感など多彩な身体症状を呈することも多いです。

治療は薬物療法と非薬物療法(支持的精神療法・認知行動療法・リラクセーション等)を組み合わせて行いますが、やはり上述の包括的サポートも大切です。また、ここでもせん妄を生じにくい薬剤選択を考慮します。

「せん妄」への対応

身体的・環境的・物質的な要因によって急性に発症する、一過性で動揺する意識障害を言います。高齢や認知症などもともと脳に障害があったり脳機能が低下していたりする人に、がんによる様々な身体的な負荷(手術等の抗がん治療、がんの浸潤や転移や血栓による脳や脳以外の臓器障害、発熱、感染、脱水、低酸素、便秘等)が重なったり、薬剤やアルコールの離脱などの影響が加わったりして、記憶・注意・思考の障害や幻覚・妄想を生じたり、人格変化やつじつまの合わない言動が見られたりします。夜間に悪化することが多いです。

入院がん患者の20~30%に見られますが、進行・終末期にかけて上昇し、最終的には90%の患者さんがせん妄を生じると言われています。対応としては、せん妄を生じる原因の除去、日付がわかるようにしたり昼夜のリズムを整えるなどの環境調整、抗精神病薬や漢方薬などの薬物療法を組み合わせて行います。

その他

がんとその治療に対する心の反応を扱うことだけが、心療内科のがんとの関わりではありません。元から精神疾患を抱えた患者さんががんに罹患した場合、治療初期から主科と一緒に連携して診療にあたります。またがん患者さんのご家族やご遺族の心理・社会的問題も扱っています。

どうか患者さんもご家族も、気になることがございましたら、まずは主治医に当科受診についてご相談ください。

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